【ボートを漕ぐ税理士通信(ボー税通信) VOL.541】 不当なカネを支払う
関根稔氏の著書に「カネで済む話はカネで済ませる」「不当なカネを支払えば人間が成長する」という言葉がありました。不当な請求をされてもそれが云十万円程度であって訴訟に持ち込んだ場合の費用と労力と時間を考えれば、カネを支払って済ませた方が安上がり、意地とか正義とかの話に進展してしまうとわずかな金額でも解決できなくなる、という話です。
不当なカネ…で、かれこれ40年近く前のインドネシア空港の出入国検査を思い出しました。当時のインドネシアの空港では職員が外国人旅行者にあれこれ難癖をつけて金を巻き上げるという風習がありました。
ある時、出張からの帰りに出入国検査で別室に来いと言われました。こちらは相手の非を認めさせて1ルピアたりとも払わないぞと(インドネシア語のセリフも頭に思い浮かべ)意気込んで部屋に入ると、中年のおっさんがにこやかな笑顔で「断食明け前の物入りで困ってるんですよ~」と言われ一気に肩の力が抜け、思わず5000ルピア(1000円くらい?)ほど渡したことがあります。まあいってみれば寄付ですね。あのおっさんの「間」は絶妙でした。商売人になっても成功したことでしょう。
(今のインドネシアの空港ではこのようなことはすっかり無くなりました)