【ボートを漕ぐ税理士通信(ボー税通信) VOL.418】 遺贈寄付を考える
遺贈寄付(遺言による寄付)について考えてみました。
日本の年間相続は37兆円~63兆円あるそうです。社会の高齢化により、いわゆる「老老相続」(例えば80代から60代への相続)が増えていて、老後不安で資産をため込みがちなため、必要な所に資金が回らないという現象も起きています。
一方で、遺贈寄付をして社会に貢献したいと考える人は全体の2割程度いるそうですが、遺贈のやり方が一般になじみが無いこともあり、日本では遺贈寄付が進んでいないようです。
遺贈寄付の税金の取扱いについて整理します。
《遺贈する側》
・遺贈先が税制優遇のある法人(認定NPO法人、特定公益増進法人)であれば、寄附金控除(所得税、住民税)、相続財産非課税(相続税)の優遇措置があります。
・遺贈ではなく、いったん相続した相続財産を相続人が寄付した場合は、相続人に相続税の課税が発生します(寄付の相手先が国、地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人である場合は、相続税の申告期限までに寄付をすれば相続税非課税)。
《遺贈された側》
・遺贈を受ける側の法人が収益事業課税の適用を受ける法人(NPO法人はすべて該当)であれば、個人からの遺贈について法人税は課税されません。
・遺贈を受ける側が任意団体(人格のない社団等)の場合は、任意団体を個人とみなして相続税が課税されます。(※)
(※)人格のない社団等に非課税で寄付したい場合には、
⇒ 大学などが受け皿となる仕組みを使う
⇒ 贈与税110万円以内の基礎控除枠(寄付者1人あたり110万円非課税)を使って生前に寄付する
などが考えられます。
みなさんも社会貢献、いかがですか。
(参考:「遺贈寄付の税務(脇坂誠也講師)」)