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相続税・贈与税

【VOL.432】 認知症の母親の口座から14億円出金(相続税更正処分)

【ボートを漕ぐ税理士通信(ボー税通信) VOL.432】 認知症の母親の口座から14億円出金(相続税更正処分)

認知症の母親が亡くなる前に、母親の口座から何者かによって約14億円全部が引き出されていた事案の相続税課税の裁判で、相続人である兄弟のうち弟が引き出したと認定し、税務当局の更正処分を認める東京地裁判決がありました。

母親の相続開始後、相続人である兄弟は相続税の課税価格を約8千万円と申告していましたが、税務署は、母の口座から無断で出金したのは弟であるとして更正処分を行い、兄には過少申告加算税、弟には重加算税が課せられました。

兄弟の相続税申告に当初関与した税理士は違和感を覚え、母の口座を隠して申告しても税務署から調査が入るなど指摘しましたが、兄弟は耳を貸さず、結果として追加分の相続税本税のほかにペナルティーの加算税まで納めることとなりました。

認知症で施設に入所している母親が14億円もの金を何にどう使うというのか。息子が引き出したのでなければ、誰かに盗まれたとでもいうのか。どう考えてもすぐばれる嘘をついて、払わなくてもいい多額のペナルティまで払うことになった兄弟。余分に税金を払いたい納税マニアだったのかもしれませんね。