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相続税・贈与税

【VOL.488】 妻の老人ホーム入居金を夫が支払った場合、贈与税の対象となるか?

【ボートを漕ぐ税理士通信(ボー税通信) VOL.488】 妻の老人ホーム入居金を夫が支払った場合、贈与税の対象となるか?

夫が妻の老人ホーム入居費用を支払った場合に、
・入居費用は贈与税の対象か?
・老人ホームからの返還金は金銭債権か?
が争われた事例があります。
結局、
・妻が継続して老人ホームに入居できているのは、夫が一時入居金(945万円)を支払ったからである
・これは妻の生活費に充てるために通常必要と認められるものであり、贈与税非課税である
・一時入居金は償却期間が過ぎても入居は継続できるのだから、家賃の前払金ではない(金銭債権ではない)
と裁決されました。
老々介護に日々苦労している庶民に難癖付けて隙あらば毟り取ろうという血も涙もない税務署の横暴が食い止められました。

また、これとは別に、入居金が1億3,370万円の事案があり、それについては、
・社会通念上日常生活に必要な居住の費用であるとは認められない
・入居したのが介護付有料老人ホームではなく、妻は介護状態になかった(入居は不可避ではなかった)
ことから、贈与税課税とされた例もあります。
これについては、仮に妻が介護状態であれば、資産状況なども勘案し、たとえ高額であっても認められたのでは?という見解もあります。
(参考:松本好正講師)